Windowsのセキュリティ警告「害を及ぼす可能性があります」が出る理由と消し方

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パソコンでファイルを開こうとした際に表示される「これらのファイルはコンピューターに害を及ぼす可能性があります」という警告。突然このようなメッセージが出て不安になる方も多いのではないでしょうか。

実はこの警告、ファイル自体が危険というよりも、“どこに保存されているか”が関係しています。

この記事では、警告の意味と原因、そして繰り返し表示されるのを防ぐ設定方法まで、わかりやすく解説します。

「これらのファイルはコンピューターに害を及ぼす可能性があります」とは?

Windowsでファイルを開こうとした際、「これらのファイルはコンピューターに害を及ぼす可能性があります」という警告が表示されることがあります。これは、ファイル自体がウイルス感染しているわけではなく、Windowsのセキュリティ機能がファイルの“保存場所”を信用していない場合に出るメッセージです。

たとえば、以下のような状況で表示されることが多いです:

  • NAS(ネットワークHDD)や共有フォルダからファイルを開いたとき

  • 外付けHDDやUSBメモリ内のファイルを移動または起動したとき

  • インターネット経由でダウンロードしたファイルを開こうとしたとき

これは、Windowsが自動的に「このファイルのソースはインターネットや不明なネットワーク」と判断して警戒している状態です。

警告の背景にあるセキュリティ機能とは?

この警告は、Windowsに搭載されている「Zone.Identifier」や「Attachment Execution Service」というセキュリティ機能によるものです。これらは、ファイルの「入手経路(ゾーン情報)」を識別し、信頼できないゾーンにある場合に警告を出す設計になっています。

たとえば、ローカルPC内(Cドライブなど)であれば警告は出ませんが、

  • \\192.168.1.10\共有フォルダ\ファイル.xlsx(NASなど)

  • Z:\部門共有\報告書.docx(マウントされた共有ドライブ)

  • http://example.com/file.zip(Webからダウンロード)

といった外部ソースは「インターネットゾーン」や「未分類ゾーン」に属し、警告の対象となります。

一部のファイルには、見えない「Zone.Identifier」ストリームが付加され、これをもとにWindowsが警告を出す仕組みになっています。

最近になって警告が出るようになった理由は?

「10年以上この警告見たことなかったのに、最近急に出るようになった」という声も多く見られます。その理由としては、以下が考えられます。

  1. Windows Updateによる仕様強化
    特にWindows 10 バージョン1903以降、より厳格なセキュリティが適用されるようになりました。

  2. Active DirectoryやGPO(グループポリシー)の設定変更
    企業ネットワークでは、管理者が共有フォルダへのアクセスに制限を加える場合があります。

  3. NASの設定変更(SMBバージョンの変更など)
    ファームウェアの更新により、信頼ゾーンとして認識されなくなることがあります。

  4. ファイルのコピーや移動の方法の違い
    「右クリック→コピー→貼り付け」では警告が出るが、「コマンドプロンプトでrobocopyを使った場合は出ない」などの差異が生まれることもあります。

毎回出るのが面倒…警告を非表示にする設定方法

警告が表示されるたびに「はい」「いいえ」を選ぶのは手間がかかります。信頼できるNASや社内サーバーに対しては、警告を無効化する設定が可能です。以下に詳しい手順を示します。

手順:Windowsでローカルイントラネットに追加する方法

  1. コントロールパネルを開く
    → スタートメニューから「コントロールパネル」と入力し、開きます。

  2. 「インターネットオプション」を選択
    → 「ネットワークとインターネット」→「インターネットオプション」。

  3. 「セキュリティ」タブを選ぶ
    → 上部のタブから「セキュリティ」をクリック。

  4. 「ローカル イントラネット」を選び、「サイト」ボタンをクリック

  5. 「詳細設定」で信頼できる共有先を追加
    例:

    • \\192.168.1.10

    • \\server-name

    • Z:\(共有フォルダのドライブレター)

  6. 設定を保存し、PCを再起動またはログオフ

この設定により、対象のNASや共有先は「ローカルイントラネット」として扱われ、以後警告が表示されなくなります。

ゾーン情報を手動で削除する方法もある(応急処置)

ファイルごとに警告が出る場合、該当ファイルのゾーン情報(Zone.Identifier)を手動で削除することもできます。

方法1:プロパティから解除

  1. ファイルを右クリック → プロパティ

  2. 「全般」タブにある「セキュリティ:このファイルは他のコンピューターから取得したものです」欄

  3. 「許可する」にチェックを入れて適用

方法2:PowerShellで一括削除

Get-Item "D:\共有\*.*" | Unblock-File

※このコマンドで、フォルダ内の全ファイルからZone情報を削除できます(自己責任で実行してください)

セキュリティの視点から見た注意点

警告を非表示にする設定は便利ですが、本来はウイルス感染やマルウェアの拡散を防ぐための機能です。完全に無効化してしまうのはリスクが伴うため、次のような点に注意しましょう。

  • 信頼できるサーバーやNASのみに限定して設定する

  • セキュリティソフトを常に最新に保つ

  • 不特定多数が利用する共有先では無効化しない

  • 外部から持ち込んだUSBメモリなどでは警告を有効に保つ

特に企業環境では、情報漏洩やウイルス感染リスクが高いため、システム管理者と相談した上で実施することを推奨します。

まとめ|「害を及ぼす可能性」警告の正体と向き合い方

「これらのファイルはコンピューターに害を及ぼす可能性があります」という表示は、Windowsのセキュリティによる正常な防御反応です。ファイル自体が危険というより、その保存場所やアクセス経路が信頼できないと判断されているだけなのです。

繰り返し出るようであれば、ローカルイントラネットへの追加設定やゾーン情報の削除で解決できるケースがほとんどです。ただし、利便性と安全性のバランスを考慮し、適切な範囲で設定を行うことが重要です。

「信頼できる環境でだけ、警告を抑制する」という姿勢が最も安全かつ快適な対処法といえるでしょう。

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